2013年2月24日日曜日

修了か単位取得退学(満期退学)か

大学教員の公募の必要提出書類には、必ず履歴書が含まれます。
履歴書を出さなくてよい公募など聞いたことがありません。
そして多くの場合、履歴書には学歴欄があります。
大学教員のポストに応募しようとしている人の多くは大学院の博士課程まで通った人が多いでしょう。(たまにそうでない人もいます。地方私大や短大には、修士だけでなく、学部卒の人もけっこういます。)

そこでよく見かける独特な表現に「単位取得退学」「満期退学」といったものがあります。
具体的には、「平成24年3月 ○○大学大学院○○研究科博士課程単位取得退学」といった具合です。
「退学」という言葉のイメージによって、「途中でやめた」感がありますが、これは、「大学院の博士課程には通ったけど、在学している間に博士論文を書き上げることはできず、『博士』という学位は取得していませんよ。ただし、ちゃんと3年は通って単位は取得してます」ということを意味しています。「満期退学」も似たようなものです。
理系分野では、博士課程の3年で博士の学位を取ることが普通のようですが、文系はそういうわけではありません。
少し前まで、文系の大学院生(博士課程)は、学位を取れずに(取らずに)単位取得退学することが、「当たり前」と考えられていた感があります。(大学によって取りやすい、取りにくいという違いはよく聞きますが。)

最近は以前と比べると、学位を出す方向になっているようですが、やはり多くの学生は退学をしています。(この先2,3年で変わるかもしれませんが、あまり学位の乱発はしてほしくないものです。)
持っている学位は「修士」でも、修士課程にしか通わなかった「修士」の人と区別するためにあるとも言えるでしょう。
もちろん、博士課程単位取得退学者でも、その後、博士の学位を取得する人はたくさんいます。

一方、大学院博士課程在学中に博士論文を書き、提出し、博士の学位を取得した場合は、博士課程「修了」となります。

では、大学教員の公募の場合、この単位取得退学と修了とでは、どのように評価が異なるのでしょうか。

ケースバイケースではありますが、私の場合、「修了」と書いてあると、優秀な院生だったんだろうなという曖昧な印象をなんとなく持ちます。(なんとなくというところがミソです。)
評価に大きな差がつくことはありませんが、「修了」にはなんとなくカッコイイ響きがあると思ってしまいます。

もちろん、単位取得退学者が優秀でないとか、さぼってたんだろうなと思うことはありません。
博士課程在学中に学位を取ることのレアさと大変さを体感している世代だからこそ、「なんとなく」の良さを感じるのかもしれません。
しかし、その一方で、どこの大学が出している学位なのかということも気にします。
自分の分野なら、どこの大学の博士論文審査が厳しく、どこの大学の審査がそうでないか、ある程度わかるからです。

ま、結局は現時点で有している学位が重要なのですが。

ちなみに、私が初めて大学教員として採用された大学では、持っている学位が、博士か修士かによって、給料や昇給までの期間が違いました。

2013年2月22日金曜日

働きたい大学の特徴

私が働きたいと思う大学の特徴を勝手に挙げます。

1.学生が多い→大学が潰れない
2.大規模私立大学→給料がいい
3.講義担当コマ数が少ない→研究できる時間が増えるor丁寧な講義の準備ができる
4.研究費が豊富→まともに研究できる
5.事務職員が有能→無駄な仕事が増えない
6.教授会での決定が尊重される→ツルの一声でかき乱されない
7.名の知れた大学→一般社会で怪しまれない
8.教員たちがちゃんとした学者→アカデミズム特有の話が通じる
9.教員に任期を付けない→安心して働ける
10.キャンパス、建物がきれい→毎日働く場所ですから
11.便利な場所にある→毎日働く場所ですから
12.学食がうまい→毎日働く場所ですから
13.学生たちが元気→いい意味で

そんな大学日本に何校あるのでしょうか。
日本に800もある大学のうち、わずか7校くらいでしょうか。
そんな大学で教員してる研究者が心底うらやましいものです。

2013年2月14日木曜日

採用通知までの期間

大学教員の公募では、多くの場合、まずは書類審査による一次選考が行われます。
では、この一次選考を通過した場合、応募締切からどれ程の時間が経過した時に本人に通知されるのでしょうか。
私の場合、2度、1次選考を通過した経験を持っていますが、1度目は、書類応募締切の約1週間後には、1時通貨の通知がメールにて届きました。
2度目は、書類締切からちょうど1か月後に郵便で文書による通知を受け取りました。

通過していれば、早いうちに本人には通知が来るという話をよく聞きますが、1か月くらいは待たされることもあるようです。
応募者が多数の有名大学の公募であれば、書類審査にもそれなりの時間がかかるものです。
しかし、さすがに2か月以上ということはあまりないでしょう。
採用側としては、最終的に一人の採用者を決め、その人に赴任の意思があることを確かめてから、他の不採用者に対し、一斉に不採用通知を送信することが多いのではないでしょうか。

では、最終選考の通過は面接のあと、どれほどの期間をおいて通知されるのか。

私の場合、1度目は、面接が行われた当日の夕方に電話で内々の通知をされました。
2度目は、面接の2週間後に電話で通知をされました。

いずれもやはり赴任の意思を確認されました。
公募のスケジュールにもよるとは思いますが、面接目で終われば、あとは次年度に向けて準備を着々と進めなければなりませんから、通知は早くするのでしょう。

選考委員会で採用候補者をひとりに絞った後にも、教授会での承認、部局長会議等での承認、理事会等での承認、割愛の依頼と承認など、何かと手続きが必要となるのが一般的です。

人事は何が起こるかわからず、採用者も採用する大学側も、着任日まで安心することはできないのです。

採用が内定していて、実際には着任できない(多くの場合、大学から他大学への移動)こともあるのです。

採用された経験者に話を聞いてみるのがよいでしょう。

2013年2月9日土曜日

コネ

大学教員の公募でアカデミックポストを勝ち取った人には、さまざまな勝因があると思います。
当然、優れた能力を評価されて採用されることが原則ですが、中には、人とのつながり(コネ)が大きく影響することもあるでしょう。

コネで決まるというと、どちらかというとネガティブに捉えられるでしょうが、そうとも限らないと思います。
こういう人を採用したいという大学(部局)側のビジョンがあり、条件をすべて満たす優秀な人を信頼できる人から紹介してもらうこともあるでしょう。
(一方で、納得できない理不尽なコネ採用だってあるのでしょうが。)

コネを作るということを第一に優先すべきではないとは思いますが、学会に積極的に参加し、自分の研究を多くの人に知ってもらう、多くの人と知り合いになる、一緒に研究する、ということをしていれば、人とのつながりは自然にできますし、自分を知ってくれる人も増えるものです。

ひとりの人から、芋づる式に研究者の知り合いが増えることだってよくあります。

そして、公募の時、応募書類を見て、「あの人か。いいね。」と思われるのです。
もちろん、知られているということが、必ずしも良いこととも限りません。

「あの人の学会発表を聞いたことがあるけど、おもしろくなかった」とか、「研究が雑」、「変な人だから、一緒に仕事するのはちょっと…」という印象を持たれていると、当然知られていることが悪い影響を及ぼしかねません。
(中には「○○の弟子か」とか、「○○大学閥か」という変なことを気にする人もいますが、そんな人のことは相手にしないでいいでしょう。)

私も博士後期課程の3年生の時、知り合いの先生から、「学会発表するときは、就職活動と思ってがんばること」と言われたことがありました。

当時は、「そんなつもりで研究発表しているんじゃない」と純真な気持ちでいたのですが、今はその言葉に半分納得しています。
スカウトするつもりではありませんが、大学に職を得た今、学会で注目すべき若手研究者を見た時には、「こういう人がうちの大学に欲しい」と感じることがあるからです。

若手が妙に自分をアピールする場になり過ぎるのは変ですが、しっかりとした研究ができるということをほかの人に知ってもらうには、やはり学会での発表や論文発表が最良の機会なのです。